山本一力の長編時代小説 -だいこんーを読み終えた。600ページ以上のもので読み終えるまで時間がかかりました。江戸・浅草で一膳飯屋を営むつばきとその家族と周囲のひとたちの下町情緒あふれる細腕繁盛記。
17歳の主人公のつばきの飯炊きのわざは、ほかに真似できるものがいない、どんな困難にあっても真正面からひたむきに向き合っていく姿に感動する場面がおおくある。
途中、周旋屋の富田屋が閻魔帳(えんまちょう)をつくっていた話が出てくる…富田屋はこの閻魔帳に周旋したの客のその後をひそかにかいていた。商いが振るわず店じまいした客は×、周旋したあと2年過ぎても商いが伸びていない客は名前の上に△、二年のうちに店構えを大きくした客は〇を・・・・。富田屋はこの閻魔帳を「夢くらべ」という名をつけていた。この夢くらべをもとに新たに周旋する客に商いの見込みとして聞かせたという。
私は中学校入学した時どの教師も黒革の手帳を持って教室にこられたことをまず思い出した。教師はまずこの手帳をあけて出席をとった。きっとテストの点数も書いてあったんだろうし赤点も落第も・・・・。まさしく閻魔帳だったな・・・・。
ツバキが奉公人を雇い入れるのに口入屋に出向きそこの番頭がつばきに言ったこと「笑顔がきれいなひと・骨惜しみせず、腰が軽いひと・声が明るいひと・好き嫌い言わず、出されたものはなんでも食べるひと」ツバキはこれを聞いて奉公人の品定めをするのです。
おわりのほうに「人間の本当の奥ゆかしさ」とは何かを年上の雇い人のおきちとおかねから学ぶところもいいところ・・・・。いまでも日本橋にある老舗のお茶や、刃物や、ようかんの店などもでてくる。ツバキが生まれたのは明和元年(1764年)。